生活保護の甘くない現実

風俗の収入を隠して不正受給をした結果


生活保護の不正受給の現実

小田原ジャンパー事件を機にあらためて注目される生活保護。

厚生労働省によると平成26年度中に明らかになった
生活保護の不正受給は全国で4万3230件に昇るようです。

不正受給総額は186億9000万円と保護費全体の0,5%であると発表しています。

全体の率で見ると低い様に見えますが
我々の血税が財源に使われている事を考えると
186億円というのは聞き捨てなならない数字だと思います。

しかし、忘れてはならないのが、
この数字は調査の末に発覚した数字であって
不正受給の総数からすると氷山の一角であるということです。

不正受給対策ばかりが叫ばれるが
実際に不正受給している人たちは何を思い
どのような生活を送っているのかでしょうか。

不正受給者の素顔

車を乗り回し仕事せずにのうのうと生きている……。
そんなイメージがある不正受給者ですが、現実はそう甘くない。
その一例が風俗の収入を隠して不正受給をした女性(50歳)。

「もともと、20歳の若さでシングルマザーになり、
給料の高い保険屋、パチンコ屋などで必死に働きました。

それでも借金は膨れ上がる一方。
息子は成人を迎えても引きこもりで働くことができず、
仕方なく40歳で風俗を始めました」

精神的苦痛から心の不調に陥り、片付けることが億劫に。
部屋にはゴミが積み上がり飼い猫の餌や糞尿も……。

冷暖房もなく、冬場は猫を抱いて寝るという苦しい日々にやがて限界が訪れた。

「毎年一度、大病を患うようになりました。
糖尿病、腎不全、脳炎、子宮頸がん。

入院が1か月以上に及ぶこともあり、昼の仕事を探すのはどうしても難しくて……」

どうにか風俗で食いつなぐも毎年の大病もあり、
雪だるま式に借金が積み重なり家賃も半年間滞納してしまう。

「ある日、大家が来て
『家賃払えないなら生活保護を受けるか、
体を売れよ!』と脅されました。本当に悔しくて悔しくて……」

この大家の一言が決め手になりこの女性は8年前に生活保護を申請。
風俗出勤で稼ぐ約8万円に家賃補助込みで
毎月約13万円の支給が加わり生活は安定した。

ただ、生活保護費以外に収入がある場合は、
それを月に一度報告する義務がある。

健康的な生活を取り戻しつつあるが、「不正受給」に変わりはないのだ。

「子供も私の入院を機に、半ば強制的ですが社会復帰して家を出ていきました。

少し余裕が出たので、最近は会員制のスポーツジムに通っています」

そんな女性も小田原ジャンパーの件にも心が揺さぶられたようです。

「何様だと思われるかもしれませんが、やっぱり腹立たしい。

正義だって言うなら、不正受給しているヤクザ事務所にも、
あのジャンパーを着て訪問してほしいですよ」

それでもやましい気持ちがあるのは事実であり、
この女性は生活保護から抜け出したい気持ちは常に持っていると話す。

「最初、役所に支給金を受け取りに行ったときに、
あまりにダメそうな人が多くて、“あーなったらダメ”と思いました。

『何で働けないのかな~?』と言うケアワーカーの嫌みも地味にツラいですし」

昨年末からは就労支援の後押しもあり、
昼4時間限定でパートも開始。収入申告もして、
支給額の減額という第一歩を踏み出した。

不正受給は零歳企業や水商売はバレない?

絶対にとは言いませんが、ほぼ90%の確率でバレないようです。

課税調査の資料に所得情報あがってこない場合、
最後の望みはタレこみによってばれる場合のみとなります。

しかし、意を決して不正受給者の情報をタレこんだとしても
役所が動く場合はほとんどありません。

基本的に課税情報に所得があがってこない限り、
不正受給者が隠れて働いているという証拠を客観的に示すことができないからです。

また、隠れて働いている会社名がわかれば調査ができるのですが、

「どこで働いているかは知らないが、働いているみたいだよ」

というような不確実な内容が多いようです。

警察の様に張り込みを行えば良いではないかという意見が多く出ます。
しかし、役所には不正受給を暴く担当の部署が無い自治体がほとんどです。

ケースワーカーも日々の仕事が忙しすぎて、
とてもじゃないですが張り込みなどはできないため、
不正受給を見つけるのは容易ではないようです。

マイナンバー制度の導入は不正受給を減らせるのか?

不正受給を無くすには、まずは全ての会社が
社員の所得情報を確実に申告できる様な体制をつくることです。

マイナンバー制度の導入によりその流れは進むでしょうが、
それも何年もかかる話となります。

一番良いのは不正受給を暴く担当部署を各自治体が創設することです。
大阪市ではいち早く「不正受給調査専任チーム」という部署を創設しています。

しかし、不正受給調査にかかる人件費と不正受給により詐取される金額を比べると
その導入に難色を示す自治体が多いです。

いずれにせよ生活保護不正受給は犯罪です。
コストが掛かるからと言ってそれを取り入れないのでは、
税金が詐取され続ける実態は変わることがありません。

今後多くの自治体で不正受給対策が進むことを願わんばかりです。

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