なぜホホジロザメは水族館にいないのか…
実は展示するのが難しいサメだった…



映画「ジョーズ」のモデルにもなったホホジロザメ。
今回はなぜホホジロザメは水族館にいないのかを紹介します。

ホホジロザメとは

ホホジロザメの体長は平均で4m〜5m、
体重は700kg〜1100kgほど。

映画「ジョーズ」での設定は体長8m、体重3000kgでしたが
ジンベエザメとウバザメに次ぐ大型のサメです。

日本近海でホホジロザメが水揚げされた例はいくつかあり、
最近だと2015年に三重県沖、
2016年12月にも三重県沖の熊野灘付近で見つかっています。

日本では沖縄の美ら海水族館で2016年1月5日から
約3.5mのホホジロザメを展示し始めました。

成体では世界初となる事例で期待されましたが
4日しかもちませんでした。

多くの水族館が飼育を試みたのは1970年から1990年代にかけて。

エサを食べなかったり、泳げなくなったりという問題が起こり、
元の生息地に返したり、飼育開始から間もなく
亡くなってしまうホホジロザメが続出しました。

ほとんどの水族館が諦めていた中、
ようやく一筋の光が見えてきます。

半年間の育成に成功

モントレーベイ水族館が2004年になってようやく
約6ヶ月間の飼育に成功しました。

これまでは最長で16日しか飼育できませんでしたが
なぜ半年も飼育できたのでしょうか。

モントレーベイ水族館のジョン・ホーチさんによれば
水槽の開発が鍵となったそうです。

どんな水槽を開発したのかというと
モントレーベイ水族館が作ったのは高さが約10mで
約380万リットルもの水が入る水槽。

陸から遠く離れた広い海に生息する
マグロやサメを飼育することができるものです。

また、モントレーベイ水族館では捕獲対象のホホジロザメを
約1.6m以下の小さいものに限定しています。

小さなホホジロザメにした理由はホホジロザメは成長すると
アシカやオットセイなどの大型の哺乳類を食べるようになり、
飼育が難しくなります。

一方、生後1年以内の小型のホホジロザメは魚を主に食べるので
飼育の難易度が下がり、飼育しやすくなるというわけです。

ただ、ホホジロザメは他の魚類と同じくエラで呼吸をするため、
常に泳ぎ続けて海水をエラに通さないと呼吸困難になってしまいます。

モントレーベイ水族館では最初から水槽の中へ入れず、
一旦、海に大きな囲いを作り、しばらく海で飼育したのです。

一時的に海で飼育して、エサをきちんと食べるか
飼育上の問題はないのかを確認してから水族館に移動させました。

その結果、モントレーベイ水族館では
ホホジロザメを展示することが出来たのです。

2004年以降も100日以上の飼育に3回成功しています。

しかし、素早いスピードで泳ぐホホジロザメは
水槽の壁にぶつかり、鼻を損傷したり、
他のサメに危害を加えるケースもあり海に帰すこととなりました。

2011年を最後にモントレーベイ水族館は
ホホジロザメの捕獲を行っていません。

ホホジロザメの展示を辞めたのは
「生きたホホジロザメを見せるという当初の目的を達成した」ためとのことです。

今現在水族館で見られないのは
飼育に向かない為ということになりそうです。

南アフリカで絶滅の危機

ホホジロザメが水族館にいない理由をお伝えしましたが
南アフリカ沿岸海域に生息するホホジロザメが2016年7月に
絶滅の可能性があるという研究報告書が発表されています。

過去数10年で急激に減少したとのことで
353〜522匹程度しか確認できないようです。

映画「ジョーズにより」
ホホジロザメが怖いという印象がありますが
ホホジロザメは元々人を襲うような狂暴な性格ではありません。

ジョーズの原作者、ピーター・ベンチリーさんは
自身の書いた小説と映画がキッカケで
サメに悪いイメージが出てしまったと心を痛め、
その後の人生をサメの保護活動に尽力しました。

ホホジロザメの個体数が減り続ければ
海洋生態環境の急変に繋がる可能性も囁かれています。

研究報告をしたアンドレオッティ博士は
対策案を講じる必要性を訴えています。

我々にも出来る事があれば協力していきたいですね。

ネットでの反応

・そんな難しいなら無理して展示せんでいいやん。可哀想やん。

・サメと言ったらシュモクザメ。ふらりと立ち寄った水族館で
園児達が「掃除機が泳いでる~!!」って絶叫してましたぁー。

・ジョーズは上手に飼育できない・・・
おあとがよろしいようで

・サメなんかより人間の方が怖いわ

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