キスだけでも感染する梅毒が急増中…
初期症状のサインと対処方法とは…
梅毒が日本やアメリカなどで急増しています。
もしも放置しておくと
重大な合併症が出てくる可能性もありますので注意が必要です。
様々な性感染症がありますが、
その中でも「梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)」という
細菌が原因となっている梅毒は過去の感染症だと思われていますよね。
しかし最近になって、梅毒が急増しているのです。
今回はそんなキスだけでも感染する梅毒について紹介します。
キスだけでも感染する梅毒
梅毒とは性病の一種。
病原菌トレポネマパリズム(=旧名スピロヘータ パリダ)
の侵入によって起こります。
アメリカ疾病対策センター(CDC)によると
アメリカで報告された梅毒患者は
2015~2016年で18%も増加しています。
日本でも厚生労働省のHPを見れば、
梅毒が増加傾向にあることが記載されています。
特に女性は36%という数値に跳ね上がっており、
母親から赤ちゃんに感染する先天性梅毒も28%に上昇しています。
これはかなり危機的な数値だと考えていいでしょう。
梅毒を放置して治療をしないでおくと
さらに恐ろしい事態に発展します。
ジョンズ・ホプキンス大学医学部の内科准教授で
医師/博士のハリール・G・ガーネムさんはこのように語ります。
「梅毒の細菌は接触して数時間から数日のうちに身体中に広がります。
リンパ節に到達できるため、身体全体と脳を含めた
中枢神経系に送られてしまうのです」
梅毒は、性交・肛門性交・オーラルセックスだけではなく
キスだけでも感染してしまうものなのです。
ただ、治すのも意外と簡単です。
合併症を起こさないためにも早めに治療を開始するのが有効です。
梅毒というのは段階によって症状が異なります。
ということで梅毒の段階による症状と
その治療方法について紹介します。
梅毒の症状
第1期梅毒:痛みのない「しこり」
メイヨー・クリニックの感染症専門医、
プリティッシュ・トッシュさんが教えてくれたのは・・・
「梅毒の最初のサインはたいてい
痛みのない小さな潰瘍(2~3個のことも)です」
ヘルペスとは異なり痛みがないという特徴があります。
梅毒が身体の中に入って感染が起こると
「しこり」が現れて中心部分が潰瘍になります。
基本的に「膣・肛門・口周り」にできます。
このしこりは、注意が必要です。
梅毒はしこりと直に接触すると人から人に伝染していきます。
潰瘍は治療をしなくても3~6週間で
免疫力によって自然と治っていきます。
しかし、だからといって完全に治ったというわけではないのです。
第2期梅毒:風邪のような症状と発疹
梅毒で多く見られる症状は痒みのない発疹です。
赤や茶などでザラツキのある感じです。
「しこりが消えて4~6週間後、
全身にトレポネーマ菌が広がります。
すると免疫系は感染を制御しようと狂ったように活発になるのです」
下記のような症状が現れるようになります。
発熱
リンパ腺の腫れ
喉の痛み
頭痛
脱毛
体重減少
身体の痛み
疲労感
「第2期になるとたいていは赤色か茶色でザラザラした、
かゆくない発疹が出る傾向があります。
これらの発疹はほかの多くの発疹とは違って
手のひらや足の裏にもあらわれます」
「これは皮膚の一部が反応してというよりも
身体全体の免疫反応の結果として発疹が起きるためと考えられます」
潜伏期梅毒:まったく症状がない
治療をせずにいると梅毒は症状がでない段階に進んでいきます。
細菌は脳・血管・一部の細胞など身体の様々な部位に
潜伏することができますので
活発に症状を出すことはないのですが、
しっかり潜伏をしています。
60%の人はこの段階で何の症状も出ずに過ごすことができますが、
身体の様々な部位に感染の影響が出始めるので、
残り40%の人は合併症を引き起こしてしまいます。
第3期梅毒:脳と脊髄の問題
「第3期梅毒はまれですが、
最初の感染から5~40年後、
梅毒を治療していない一部の人にあらわれます」
差はありますが、
脳、神経、血管、骨、関節に悪影響がでるようになります。
症状や影響も様々あるですが、
脳と脊髄の問題が含まれているのが怖い所です。
脳卒中、記憶障害、人格変化、
歩いているときに感覚がないなどなど・・・
梅毒晩期になると免疫力が低下した時に影響が出やすくなります。
例えば、年配の人だったり、
HIV感染などの免疫不全症状を持っている人は
影響を受けやすくなってしまいます。
梅毒はどうやって治すのか?
まずは血液検査をして梅毒かどうかをチェックすることができます。
梅毒トレポネーマが発達中の胎児に感染した場合、
胎児の命が危なくなる可能性があります。
ですから妊婦さんは全員が梅毒の検査を受けるべきだとされています。
そして梅毒の治療はできるだけ早く行うのがポイントです。
ちょっとでも症状があると思ったら、
すぐに病院を受診してください。
「全ての段階でペニシリン系の抗生物質が効きます」
ただし、後期の段階になってくると
梅毒の進行を防ぐ治療をするようになりますが・・・
「ペニシリンでもすでに起きてしまったダメージを
元に戻すことは通常できません」
抗生物質の量と服用期間は
症状と梅毒の段階によって異なるそうです。
ペニシリンアレルギーの人は
ほかの抗生物質が処方されるので安心してください。
例えばドキシサイクリン、テトラサイクリン、
セフトリアキソンなどの薬があります。
しこり、つまり潰瘍が完全になくなり、
治療が完了するまでは性行為は避けてください。
それから、症状が現れる前に感染していないかを確認するためには
パートナーも梅毒検査を受けたほうが良いかなと思います。
梅毒が流行しないように
ここで多くの人達が梅毒に対する知識を持って、
対処をしていただければと思います。