臨床試験は、医薬品の認可を得るために必要な最初のステップです。
多くの場合、この臨床試験は順調に進んで薬は認可されます。
しかし、ときには大失敗という結果に終わることもあるのです。
大失敗に終わった恐ろしい臨床試験10選
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臨床試験に殺された息子
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ミネソタ大学の臨床試験で息子を亡くしたメアリー・ワイスは
その日の出来事を世界中に広めようとしています。
2003年、メアリーの息子、ダン・マーキンソンは統合失調症と診断され、
ミネソタ大学病院に入院しました。
彼は病院でクエチアピンを含めた、
3種類の統合失調症の薬の臨床試験に参加しました。
しかし、毎日クエチアピンを摂取していく中で
彼の統合失調は悪化していきました。
メアリーは息子を返すように言いましたが、
病院側はそれに応じようとはせず、その後も試験は続きました。
最終的に5人の被験者のうち、ダンともう1人が自殺。
これに対しメアリーは病院を起訴しましたが、
病院側はそれを認めようとはしませんでした。
バイオトライアルの悲劇
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フランスの製薬会社、バイオトライアルは
2016年1月、128人の被験者を募集し、
癌やパーキンソン病に関連する新薬の臨床試験を行いました。
1週間後に薬の投与量を増やすと、問題が発生し始めました。
被験者のうち6人が病気になり、
20代後半の被験者が2週間後に脳死と判定されました。
他の5人は安定状態にありましたが、
脳障害を患っている可能性があるとされています。
あるニュース局はこの会社が同様の試験を犬に対して行ったとき、
何匹かが死亡したにも関わらず、
人間に対しての臨床試験を行ったと明かしました。
奇形を引き起こす薬
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サリドマイド、主に呼吸器感染症を治療する目的でドイツで製造されましたが、
のちにこの薬が胎児に対して悪影響を及ぼすことが判明しました。
1960年代に生まれた1万人以上の子供たちが、
四肢の欠損や奇形などの症状を起こしました。
ほかの臨床試験と違うのは
サリドマイドの呼吸器感染症に対する効果自体は
有効だったということです。
オーストラリアの医師、ウィリアム・マクブライドが
サリドマイドと奇形の関係を発見した1961年まで、
多くの人々がサリドマイドを使用していたのです。
遺伝子治療臨床試験
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ジェセ・ジェルシンガーは重度の遺伝子変異を持つ
肝臓の治療のための臨床試験を受けました。
彼は肝臓がアンモニアの排出をしなくなるOTCという状態で生まれ、
この症状を治すために医者たちは薬の試験を行っていました。
しかし、彼の症状は急速に悪化し、臓器不全、脳死を起こして死亡しました。
調査によると病院側の無責任な管理体制が原因であったことがわかりました。
1つ目は薬の投与前、ほかの被験者が薬に対して
重度の反応を示していたにもかかわらず、
試験を続けたということです。
2つ目はジェルシンガーのアンモニア濃度が高かったため、
薬を投与する前に試験からはずすべきだったという点です。
視力を失った3人の女性
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2017年1月、3人の女性が視力に関する臨床試験に参加し、
彼女たちは視力を失いました。
年齢は72歳から88歳。
3人の女性全員が黄斑変性症を患っており、
50万円を支払って幹細胞という自分の細胞から
特定の箇所の細胞を作る治療法を行いました。
しかし手術の直後、3人の女性全員が出血や網膜剥離を引き起こし、
1人の患者が完全に視力を失い、他の2人もほとんど視力を失ったのです。
この試験を行った医師は
最初から試験に欠陥があることを知っていながら行ったということです。
医師はこの試験の履歴を消去しましたが、
のちの調査によってこの事件が判明しました。
奇跡のがん治療薬
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アニル・ポッティは医療界の英雄でした。
彼はがんの治癒率は80%になると約束していました。
しかし、2015年にすべてが変わりました。
ポッティの論文、申請書に虚偽のデータが
含まれていたことが判明して有罪となったのです。
この偽の研究結果の被害を受けたのがジョイス・ショフナーという女性。
2008年に臨床試験を受けました。
彼女は乳がんの治療を目的として試験に参加していましたが、
2年後にポッティの研究結果が偽物だったことにより、試験は中止に。
現在彼女は、臨床試験によって起きた血栓、糖尿病、
そしてストレス障害を持って暮らしています。
白血病CAR-T臨床試験
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2016年7月、3人の白血病患者が
白血病を治すための新技術の臨床試験で死亡しました。
CAR-Tと呼ばれているこの技術は
悪性細胞を完全に消滅し、医療界の新しい希望と考えられていました。
しかし、2016年の調査結果によって、この希望は水の泡となりました。
3人の患者の死因は脳浮腫という脳が腫れる症状で
CAR-Tの治療を受けた患者にこの症状が
発生する可能性が非常に高いことがわかりました。
現在この技術は調査中で試験を続けられるかどうかは分かっていません。
死をもたらす喘息
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エンジニアのエレン・ロシュはジョンズホプキンス病院で
喘息に関する臨床試験にボランティアとして参加しました。
この試験は、どのようなメカニズムで健康な人々が
喘息の症状を引き起こすかを調べるために行われたもの。
医師は被験者に対して軽度の喘息をわざと起こし、
ヘキサメトニウムという薬で治療しました。
最初は少し咳が出る程度でしたが、
時間が経つにつれてロシュの肺組織が壊れ、
腎臓が機能しなくなり、1ヶ月後の2001年6月2日に亡くなりました。
のちの調査で、ヘキサメトニウムは臨床試験の許可が
下りていなかったことがわかりました。
お金がほしかった少女
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1996年、ロチェスター大学の2年生、ニコール・ワンは
お金がほしかったので1万5000円の報酬がもらえる臨床試験に参加しました。
医師は気管支鏡検査と呼ばれる方法で呼吸器系への汚染の影響を調べるため、
ニコールの喉と肺にチューブを挿入しました。
しかし、医師たちは契約内容よりも多く細胞を肺から採取し、
認可レベルをはるかに上回るリドカインという麻酔薬を投与しました。
試験が終わった後、彼女の体はとても弱っており、
2日後に亡くなりました。
調査によると基準を上回るリドカインが
彼女の心臓すら止めてしまったことがわかりました。
象の男
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これは2006年にロンドンで行われた象の男試験、というものです。
その試験ではTGN1412と呼ばれる新たながん治療法を試験しており、
副作用が起こるとしても頭痛や吐き気程度だろうと考えられていました。
しかし、被験者に薬が投与された直後、患者全員が痛みと嘔吐を起こし、
1人は手と足の指を失い、もう1人は足を切断しなければなりませんでした。
それだけではなくある被験者の頭が大きく腫れており、
ゾウのように見えたのでこの事件は
「象の男試験」という名前が付けられたのです。
たしかに医療の発展のためには臨床実験は大切なものです。
しかし、安易な方法であったり、
ずさんな管理体制で行われてこのような大事故に至っている事実もあるのですね・・
その恐ろしさにも向き合っていかなければなりません。