医療費控除の確定申告が変わる
領収書ではなく明細書が必要にツイッターでは戸惑いの声続出…



国税庁公式Twitterアカウントによる

「今年分の確定申告から、医療費控除を受けるためには
領収書の代わりに『医療費控除の明細書』が必要」

というツイートに

「9月に入ってから言われても困る」
「もう領収書以外は捨ててしまった」

と戸惑いの声が続出しています。

引用:https://twitter.com/NTA_Japan/status/907527687555604486

今までの医療費控除では10万円以上がボーダーラインだったために、
高額な医療費の支払いや家族での医療費を合算した場合での利用がほとんどでした。

しかし、セルフメディケーション税制が導入されることにより、
医療費控除が受けやすくなるようです。

セルフメディケーション税制とは

セルフメディケーション税制とは
健康増進と病気の予防を目的として作られた、
医療費控除の特例です。

平成29年(2017年)1月1日から平成33年(2021年)12月31日の間で適用されます。

この特例により医療費の削減が期待されています。

というのも日本の医療費は、年々増加傾向にあり、
平成26年のデータでは40兆円を超えています。

このように、年々増加する医療費の削減が急務となっているわけです。

特に日本は国民皆保険制度によって
これまで3割程度の負担
高品質な医療を受けることができました

しかし、近年では少子高齢化も重なったことで医療費が重しとなっています。

したがって、今回のセルフメディケーション税制の導入により、
ちょっとした体調不良だった場合
すぐに病院へ行くのではなく
ドラッグストアや薬局で購入した市販薬で様子をみることで、
その分、医療費削減につながるという訳です。

今までの医療費控除は何が違うの?

今までの医療費控除は10万円を超えて
医療費を支払っている人が対象となっていました。

対して、セルフメディケーション税制では
1万2,000円を超えた金額が対象となります。
下限が低く利用しやすくなっています。

上限と下限をまとめると以下通りです。

セルフメディケーション税制の適用例

例えば年収が500万円の人が5万円分の対象医薬品を購入していた場合、
次のような計算となります。

5万円(医薬品購入金額) – 1万2,000円(セルフメディケーション税制下限の金額) = 3万8,000円

この3万8,000円が課税所得額から控除されることなります。
また、最終的な減税額は、次の通りです。

住民税では3,800円 (3万8,000円✕住民税率10%)
所得税では7,600円 (3万8,000円✕所得税率20%)
合計で1万1,400円の減税となるわけです。

セルフメディケーション税制の対象者

セルフメディケーション税制は誰でも利用できるわけではありません。

利用するには次の2つの条件をクリアする必要があります。

・所得税・住民税を納めている
・健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っている

なお、一定の取り組みとは次の通りです。

特定健康診査(メタボ検診)
予防接種(インフルエンザなど)
定期健康診断
健康診断
がん検診

税金を納めていて、会社の健康診断を受けていれば
条件はクリアしていますので多くの方が条件をクリアしているはずです。

■従来の医療費控除との違いを簡単に言うと

・これまでは病院などの領収書を個別に提出する必要があった

・今後はそれらが不要になり、代わりに「支払った医療費について記載した書類
(=自分で用意する「明細書」)を1枚提出するだけでよくなる

運用を完全に切り替えるのは2020年分の確定申告から。
それまでは従来通りのやり方でもよい(旧方式と新方式のどちらでもよい)

ということ。

Twitter上では

「(医療機関が発行する)診察明細書などを提出する必要がある」

と誤解した人もいるようですが、そういうことではありません。

確定申告方法

国税庁は所得税に関する法令についてまとめた資料の中で
確定申告で医療費控除を受ける際、
「医療費控除の明細書」の添付を義務化する改正があったことを告知しました。

この「医療費控除の明細書」は病院などが発行するものではなく、
申告者自身が用意するもの。

これに合わせて確定申告を書面の提出により行う場合に
義務化されていた病院などの領収書提出が不要に。

ただし、自宅で5年間保存する必要があるので、
捨てないようにしましょう。

国税庁によれば

「これまで医療費控除を行なう方の中には領収書が多いせいで
提出書類が厚くなってしまう人がいた。
しかし、今後は紙1枚で済むようになる。
以前から類似の書類を提出していた方もおり、
その場合は領収書を添付する手間が省けるようなイメージ」

とのこと。

ちなみに、
医療費通知書(健康保険組合などから発行される「医療費のお知らせ」など)
を添付することで、「医療費控除の明細書」の記入を省くことも可能。
さらに楽になりそうです。

医療費控除がこのような仕組みに完全に切り替わるのは
2020年分の確定申告から。

それまでの数年間は経過措置期間とされており、
従来の申告方法、新しい申告方法ともに利用できます。

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