事故物件に住む友人家を訪問…
故人宛に届いていたレンタルDVDの督促状の内容を見て言葉を失う…



なんらかの事情によりその部屋で人が亡くなった場合、
そこは事故物件として貸し出されることになります。

なんとなく怖い気がして住むのをためらう人がほとんどかと思いますが、
稀に安く住めるということで気にしないという人もいますね。

今回はそんな事故物件に住む友人の家に行った時の話を紹介します。

事故物件に住む友人家を訪問

引用:https://twitter.com/kusakashinya/status/1194544702512455680

引用:https://twitter.com/kusakashinya/status/1194544703628144640

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引用:https://twitter.com/kusakashinya/status/1194544707860234245

生活費を節約するために事故物件に住んでいる友人のアパートを訪ねたことがある。
彼の住まいは、JR中央線高円寺駅から徒歩10分ほどの距離にあるアパート。
間取りは6畳ほどのワンルームで、若干手狭に感じるが、
一人暮らしには充分な物件だ。

不動産屋から友人が聞いた情報によると、
先住者は20代の若者でフリーターをしていたらしい。
具体的な自殺の理由などは聞かされていなかったが、
その若者は人生に絶望し、首を吊って死んだという。
その結果、正規家賃7万円の部屋が半額の3万5000円で貸し出されているということだった。

一度、事故物件を見てみたいという何人かで集まり、
彼のアパートを訪問する運びになった。
冬場だったこともあり、みなで家で鍋でもしようという目論見である。
スーパーで買い物をすませ、彼のアパートに向かう。

「いくら半額だからってよくそんなところに住むよな」と私は言ったが、
「霊なんて出ませんし、安いほうがいいですから」と友人は呑気に答えている。
ちなみにその日集まった面々の中に霊感がある者はおらず、
ひょっとしたら霊が出るかもなどと怯えている者は誰1人いない。

アパートに到着したが、なんの変哲もない小ぢんまりとした部屋である。
「はー、これが事故物件ね」と周囲を見回すが、それ以上なんの感想も出てこない。
「普通だね」と誰かが言い、それが結論になった。

私たちは鍋を食べ始めた。酒も入り、にわかに楽しくなってくる。
私が「前に住んでいた人のことがわかるものってなにかないの?」
と尋ねると、友人は1枚のハガキを持ってきた。
「前に住んでいた人が借りていたDVDの督促状が届いたんですよ」という。

故人宛に届いていたレンタルDVDの督促状

引用:https://twitter.com/kusakashinya/status/1194544708917137408

引用:https://twitter.com/kusakashinya/status/1194544709902843905

引用:https://twitter.com/kusakashinya/status/1194544710863319040

引用:https://twitter.com/kusakashinya/status/1194544712004161536

引用:https://twitter.com/kusakashinya/status/1194544713342341121

引用:https://twitter.com/kusakashinya/status/1194544714449440768

不動産屋から聞いた自殺の日取りと照らし合わせると、
死亡するわずか数日前に近所のレンタルショップで借りたものらしい。
先住者がそのDVDを返却することはなく、DVDは借りたままになっていた。
そして死後、会員登録をしていたこの部屋に延滞料金の督促状が届いたのだ。

これは興味をそそられる。自殺者は死の数日前になにを観たのか。
さっそくみんなでハガキを囲んだ。
そこにはお笑い番組の総集編のタイトルが記載されていた。
自殺に向かう人間が笑いを求めていたことを目の当たりにして、
部屋の空気が静まり返った。

お笑い番組は複数巻並んでいたが、その中に異質なタイトルが混ざっていた。
「生きる」
黒澤明作品の中でも白眉とされる1作である。
漫然とした日々を送っていた市役所の課長が末期ガンに冒されていることを知り、
命懸けで困難な事業に邁進するという内容で、私も非常に感動した覚えがある。

部屋にいた誰かが言った。
「この映画を観た後死んだんですかね」
借りただけで観ることはなかったかもしれない。
観た上で、死を選んだのかもしれない。今となってはわからないことだが、
お笑い番組と「生きる」のタイトルが並んだ督促状に胸が突かれる思いがした。

それまでこの部屋の先住者は若くして自殺をしたフリーターという認識しかなかったが、
突然人間的な厚みを帯びたように感じられた。
友人にどこで首を吊ったのかと尋ねると、ベランダだという。
ベランダに出ると、コンクリートの床の部分が一部くぼんでいた。

その上部で首を吊ったことで、コンクリートの床に体液などが染み込んだ。
その部分を削りとった跡だという。私はなぜだか無性に悔しくなった。
削り取った床の前に座り込み、なんで死んでしまったんだよと感傷的になって独りごちた。

なんともやり切れない気持ちになりますね。

亡くなった方に何があったのかはわかりませんが
誰かが自ら命を断つというのは本当に悲しいことですね。

ご冥福をお祈りいたします。

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