なぜ日本は左側通行なのか?
実は歴史的・文化的背景が存在していた…
世界的に主流となっている右側通行
日本は左側通行ですが、
世界的では日本と逆の右側通行が主流になっています。
世界では具体的にどれくらいの比率なのかというと
赤色が右側通行、青色が左側通行を示しています。
全世界の左右通行の違いを見ると
76の(保護領を含む)国と地域が左側通行、
163の国と地域が右側通行を採用しています。
アジア地域に限定すると
香港、インドネシア、タイ、インドなど日本を含め16カ国、
ヨーロッパではアイルランド、イギリス、マルタの3カ国が
左側通行を採用しています。
世界の道路の総距離から見ても
左側通行10%、右側通行90%と圧倒的に右側通行が
多くの国を占めていることがわかります。
中にはある時期から左右が変更された国も存在します。
そのうちの一つ、スウェーデンでは
1967年に左側から右側に変わりましたが、
その当時の写真がこちら。
交通ルールが変更後の道路状況でまさに混乱状態です。
スウェーデンが左右を変更した理由として
1つは近隣諸国が左側ではなく右側通行だったこと、
もう1つは左ハンドルの車両が主流になっていたことなどが理由だったそうです。
なぜ右側通行が世界的に主流なのか?
そもそもなぜ右側通行が多いのかというと
ヨーロッパ大陸の大半を征服したナポレオンが
大きく関わっているという歴史的背景があるそうです。
実は中世までは左側通行が主流であったものを当時ナポレオンが
力を入れて開発をしていた交通網を右側通行として
19正規に法令として施行してしまったことが始まりと言われています。
なぜナポレオンが右側通行を採用したのかというと
理由は3つあります。
1つ目はナポレオンが左利きで側近は
彼の剣の利き手の左側から近づくように義務付けられたため。
2つ目は一点突破、全面展開を戦術としていたナポレオン軍隊が
集中攻撃、混乱させて攻略する戦略だったため。
3つ目は銃社会に時代は変わり、
銃の構え方から左側に敵を回すと戦いに都合がよく、
素早く攻撃できるので右側通行を軍隊に定着させたため。
と諸説様々ですが、
ヨーロッパの国々が世界に進出し、右側通行の文化を広めていったのには
ナポレオンによる影響が大きいことは間違いなさそうです。
なぜ日本は左側通行なのか?
ではなぜ日本は左側通行なのかというと
色々な説があります。
日本で現在、左側通行が採用されている理由は
江戸時代から左側通行を採用していたことが
由来とされていると言われています。
江戸時代の日本では狭い路地が多く存在しており、
対面で右側通行になった際、腰に差している刀のサヤがぶつかってしまい
武士たちの間で喧嘩の発端になっていたことも多く、
無用な争いを避けるために通行上のルールとして
左側通行が定着していったそうです。
当時は馬にも乗っていましたが、
乗る時は左側から乗ることになります。
そのため、刀が邪魔にならず、
また、通行する人の邪魔にならず、
さらに馬同士がすれ違う時に刀がぶつからないように
馬は左側通行というルールが生まれたのです。
やがて車が登場し、それまでの馬は車に代わりましたが
左側通行のルールはそのまま受け継がれたというわけです。
明治14(1881)年には警視庁通達がきっかけで
「人力車が行き合った場合には左に避ける」と左側通行が規定されました。
そして、より強いルールとして
明治33年に警視庁が道路取締規則を制定。
「諸車牛馬は車馬道の左側を、
その設けのない道は中央を通行すること、
そして、歩行者はみだりに車馬道を通行しない」と定められました。
また、現在では限られた都市でしか見ることのなくなった路面電車は
道路の中央付近を走りますが、
その両側を自動車が走行するため、
進行方向に対して、どちら側を走るか決めておかなければ危険です。
その際にイギリスを参考にしたので
左側通行になったという説もあります。
そして、1923年の関東大震災によって
路面電車のレールが被害を受けた影響で
道路さえあれば走ることのできる乗り合いバスが普及し始めます。
この際に、左側通行に合わせて車両の左側に乗降口を設けたことが
戦後にリセットする可能性がありながら
左側通行を続けることになった理由の一つになったとも言われています。
左側通行は何気なく当然のものとして受け入れています。
しかし、よくよく考えてみるとなぜそのようなルールになっているのか
その歴史的・文化的背景等はどうなっているのかを知ることで
そのルールの持つ本当の意味や奥深さを知らされることになりますね。
ネットでの反応
・一つ知識が増えました。
・沖縄も返還前は右側通行だった
・無益な争いを避けるという考え方から来ているのでは無いかと思う